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ナショナル石油ファンヒーター OH-P35V6(OH-P35R)
U17エラーとの闘い


YAで買ったジャンク品 ナショナル石油ファンヒーター OH-P35V6
5kWクラスだと、灯油をよく食うので、元々使っていた3.2kWクラスにしようとワッチしていたら、安価なジャンク品があったので(出品者の案内では「点火せずに、U17のエラーが表示されました」)、簡単に直るんじゃないかと安易に考え落札してしまった。本体1210円+送料1530円
        2011.2.14                           
ナショナル OH-P35V6 2003年製
能力3.5kW
外観は小さな打痕、細かなキズ等があるがまあまあきれい

燃料タンクは7Lで、カチッとキャップ仕様。改良取っ手タンクである。
時計は装備されている。
このOH-P35V6はOH-P35Rの販売店特装機種で、ハウスダスト除去ユニット( 燃焼筒右側面のサーマルリアクター)が追加され, タイマーが2系統(朝、晩と個別にONできる)、液晶バックライトがOH-J33R(2002年モデル)と同様な3色に表示を採用(P35Rはダイダイのみ)、本体パネルが色違いとなっているようです。
尚2003年モデルのイオン消臭タイプP35D、P42Dは3色表示が採用されてる。
OH-J33R、OH-P35Rにあったにおいとり表示は無しになったが、OH-P35V6はダブルタイマー仕様となり、LCD表示ユニットも専用パーツがあてがわれ、タイマー1、タイマー2表示が鎮座する。

タイマー1
タイマー2

尚、液晶バックライトは、表示切替ボタン(クリーニング)長押し3秒でON/OFFできるよ。
2000年式 OH-L50R 5kWとの大きさ比較
3.5kWモデルは筐体も小さい。
本体右側面機種メイバン
品番はOH-P35V6となってるが、型式の呼びばは、OH-P35V6(OH-P35R)となっており、機構部分はOH-P35Rと同じであることが伺える。サービスメンテ用に表示しておかないと、問い合わせが増えるから併記しているものとおもわれる。
燃料消費量は0.340L/hとなっており、この消費率は前年の3.3kWクラスモデルOH-J33Rといっしょで、いかにもエネルギー効率が上がったかのような書き方をしているが、うそだよ。なかなか暖まらないよ。
運転前には、まずは分解清掃を兼ねて、構造を把握...

前面パネル左右のM4ナベタッピンねじを外す。
外した前面パネル裏。

以前のナショナル製品で装備されていたエラーコード表は貼ってない。
前面パネルを開けるが、埃はほとんどなかった。

ルーバーを取り外すには、4個あるM4ナベタッピンねじを外す
ルーバーを取り外し、燃焼筒を見る。

若干埃がついている程度。
ここで試運転に入る。青白い炎が出ており、ちゃんと動くので

、 せっかく修理するのを楽しみにしていたが、ちょっとがっかり(儲かったなと心でつぶやく)
せっかくなので、できるところは掃除してやろうと、天板を外す。
ファンを外す。

バインドタッピンねじを4つ外しても、ファンの網が容易に外せない。
天板のほうから見てみるとよくわかるが、上部のベラで引っかかっている。
ファンの羽根の表面の埃を、重曹水溶液に浸したぞうきんで拭く。
燃焼用空気取り入れ口もあまり埃は無かった。

分解と逆の手順で元に戻す。
ファンヒーター分解現場から、自室へ移動ししばらく1時間ぐらい、使っていてもなかなか温度が上がらない。噴出し口も熱くならないし、室温も20℃止まり。それ以上熱くならない。
松下の3.5kWはこんなものかと思ったが、
しばらく様子見してたら、U17エラーが出た。

出品者の言う、「点火せずに、U17のエラーが表示される」とはちょっと違うが、言っていたとおりであった。

U17エラーの原因は、気化器にタールがたまっている。(その結果炎が小さい、あるいは点火しない、黄火燃焼になるそうだ。)
一旦OFFにし、フレームロッド電圧をモニターしてみる。
3.3V前後
イオン電流は流れており、フレームロッドのほうはよさそうである。
翌日、上回りを外して燃焼室を点検。
バーナーとフレームロッド
点火電極のコネクタ側長さから判断すると、この機種の点火電極フレームロッド付きの品番はAOS730-T50Rである。
補修パーツ

フレームロッドは、点火電極と一体になっている。

この機種には、AOS730-T50Rが適合
840円 

今回は交換しない。紹介のみ。
点火電極フレームロッド付を外しておいてから、
バーナーを外す
保炎板を外し、
ノズルホルダー(s=12)を外す
ニードルの奥にスラッジが多くたまっていたので、カリカリやって圧搾エアーで吹き飛ばしてみた。少し黒いカスが出てきた。
ノズルホルダーを元に戻し、保炎板の△マークをあわせて置く。
バーナ下部の鉄板を指定の向きでマウントして(△マークで位置合わせ)
パーナーを指定の向きで乗せ(△マークで位置合わせ)、ねじ締め。
点火電極フレームロッド付きを元に戻す。
その他部品を元に戻し、試運転。
いい燃え具合のような感じがしたが、再びU17エラーが出た。
取説によるとU17エラー時はクリーニング(から焼き)をせよとあるので、ここは取説に従い夜遅くだったがから焼きをすることに             
給油タンク受け内の残りの灯油を抜き取り、給油ランプが点灯する状態で表示切替(クリーニング)ボタンを3秒長押しすることで、から焼きモード入りできる。
C-表示にしてから運転入りにする。
C8表示になり、しばらくすると、白い煙が出はじめる。このまま2時間放置する。
2時間経過し、C0表示で停止したので、部屋にもどし、試運転。直ったかなあ?
よさそうに思えたが、やっぱり1時間ぐらい運転しても、室温が20℃より上がらず火力不足。

またU17エラーとなる

取説によると、から焼き1回で直らない場合は2回やれと言っていたので、もう一回翌日行ったが、それでも前と同様、ダメである。
2011.2.19

2回でダメなら3回目を行ってみる。
そのあと、とことん分解する。

本来ならさわりたくは無かったが、気化器を分解することにした。

気化器にアクセスする為には、電源基板を外さねばならない。
邪魔になるコネクタを外して、基板をホルダーごと外してよけておく。
燃料レベルセンサー内蔵、燃料電磁ポンプ。
電磁ポンプのフィルターはきれいであった。

この電磁ポンプは大田区の太産工業株式会社がOEM供給
これは気化器の下部。逃げパイプ固定部。
ここのM4ナベ小ねじ2個とその左の、リテーナ固定バインドタッピンねじを外すと、逃げパイプのみ外せます。
ノズルホルダーはあらかじめ外しておきます。

逃げパイプ(消火時にはノズル閉じてタンクに気化部内 の残留燃料を戻すリターン管)とフランジを外すとニードルに連結されたプランジャーが見えます。
着火時の臭い消しは、このプランジャーが奥側に動いて、ニードルでノズル部を閉じて、いやな臭いが出るのを防止する機構のようです。

松下は基本機構として、消火時に燃料ポンプが駆動停止してから所定時間後ソレノイドに通電してニードルでノズル部を閉塞し、気化部の温度が所定温度以下になった時にソレノイドへの通電を停止してノズル部を開放するように制御し、気化部の余熱による気化ガスの発生を抑制し臭気の低減を図るとともに、ソレノイドへの通電時間を短縮し消費電力を低減する。

この機種ではにおいとりランプや表示は無いが、他機種でにおいとりランプが点滅するタイミングは、ニードルを駆動するソレノイドに通電している間であろう。

プランジャーには穴があいており、この穴にエアーガンノズルを当ててプシューとやると、通気もするがプランジャーが奥側に動きます。そしてニードルと、その摺動部分にたまったカーボンがノズル部から外に排出されます。前もって、ノズル部側からカリカリやって、カスを取り除いたつもりでしたが、後ろからプシューとやったら、さらに黒いカスがほんの少し出てきました。
プランジャーを指や棒の先で奥へ押すことができます。これをしこしこやってやると摺動部分にたまったカーボンが擦れてバラける。これを取り除くことで、ニードルの動きが少しスムーズになる。だたそれだけである。

プランジャー部を圧搾エアーでプシューっとやったら、作業はそこまでとし、元に戻します。

ソレノイドをニードルこと外そうとしましたが、後ろの鉄板は外れるが引っこ抜けませんでした。
松下は着火前に、ソレノイドに通電、プランジャーを引いて、ニードルが上に飛び出し、ノズル部を閉鎖しておき、においを消しておいて、着火の際にはソレノイドの通電を止め、ニードルが下に戻り、気化ガスが通気するシステムだと思われるが、ニードルの摺動部にカーボンがたまって動きを阻害し、戻りが悪くなるがために、火力が大きくならないというトラブルだったのではないかと推察する。気化部のタールはから焼きでクリーニングされるが、ニードルの摺動部はカスがたまったまま。そうじゃないかな? あるいは気化器からニードルへ向かうところの気化ガス通路にカーボンが溜まって、通気を妨げていたんじゃなかと思う。
試運転、色はよさそうですが、まだまだ油断はできません。
25℃に設定、

本来の火力が復活し、設定温度に達すると、バックライトは緑色に切り替わる。

めでたしめでたし。専門用語ではこの感動を情熱熱風セレナーデと表現するらしい

5kWクラスと比較すると、火力は弱く温度上昇は遅いが、静かであり8畳の部屋にはこっちがいいなあ。
から焼きしても直らないので、どうしたもんかと思ってましたが、時間はかかりましたがいい勉強になりました。
修理できなくても、給油タンク AOS350-HG50R がつかえるからと買ったのであるが、直ってよかった。                    
とよろこんでいたら、今度はH36エラーに。 2011.2.21

H36エラーは
●燃焼・温風空気取入口フィルターがつまって いませんか?(不完全燃焼防止装置が作動)
●燃焼部にシリコーン酸化物が付着しています。 揮発性シリコーン配合の枝毛用コート液・化粧 品・つや出し剤などを使用していませんか?
●電磁ポンプにごみがつまっている。
とある。
この時は、暖かくなり、室内温度が18℃ぐらいのときに、設定温度21℃で再点火させて運転を開始したときだった。
火力も最小で着火し始めたので、フレームロッドに流れるイオン電流が小さく、たぶんだけどフレームロッド電圧をモニターすると、通常よりも低い電圧だったと思われる。
内部処理で言うと、これは着火後、規定時間経過してフレームロッド電圧を監視しに行った際に、電圧が低いのでエラーとしていると思われる。
この数字は、今回のエラー直後に撮影したものではなく、設定温度に達し、弱で燃焼している際に撮影したもの。
弱燃焼だと、フレームロッド電圧はこんなもんだ。

エラーのあとフレームロッド電圧をモニターモードで運転入りにして確認してみたら、F110、ないしF100だった。

まあ要するに、ファンヒーターなんか使わなくてもいいような室温のときに、点火するとすぐに設定温度に達するので、弱燃焼でこんなエラーが出ちゃったと思われる。
フレームロッドにシリコンはたまってなかったし、ばらしたときにサンドペーパーで表面のブツブツは取り除いている。不完全燃焼装置の誤作動だな。
その後の再検証でわかった。
点火後5分ぐらい経過したときにに、フレームロッド電圧が0.7Vに下がっていたら、フレームロッドモニターモードでもH36エラーで停止する。
各種エラー強制表示あそび

これはルーバー側から圧搾エアーをプシューってやってやったらこういうエラー表示になった。

●点火ミスまたは、燃焼に異常が発生していませんでしたか?(点火安全装置が作動)
ということだが、ちがうよ。
OH-G58Rの前面パネル裏のエラー一覧ではタール付着となっている。
さっき表示させたH33エラーで、フレームロッド電圧モニターモードでの表示の意味がわかってきた。

タイマーボタンとマイナスボタンを約3秒長押しすると、0-**表示になるが、ここで運転スイッチを入りにすると、フレームロッド電圧測定機能が有効になるのは、OH-L50Rのページで紹介してますが、運転スイッチ入りにする前に、マイナスボタンを押すと、0-**、1-**いろいろな値が表示されるが、これは異常履歴であることがわかった。

これは直近のエラーがU-13だったという意味
燃料タンク 空
マイナスボタンを押すと、
これはその1つ前のエラーがU-10だったという意味
運転入りで電源プラグを抜いた(停電)
マイナスボタンを押すと、
さらに古いエラーはU-12
(対震自動消火装置が作動)
マイナスボタンを押すと、
さらに古いエラーはU-17
例の気化器にタール付着
マイナスボタンを押すと、
さらに古いエラーもU-17

異常履歴の件は、合っているような感じ。
OH-G58Rで調べてみると、
0-13,1-13,2-13,4-17,F040だった。
OH-A48はというと、
0-34,1-13,2-13,3-10,4-13,F040だった。
合ってそうでしょ。
中古を買ったら、まずはエラー履歴をチェックしておくとよいね。
マイナスボタンを押すと、
これはご存知フレームロッド電圧の意味合いだが0.3Vというのは火が点いてないときであり、0検出といっしょ。少し電圧が浮いているかんじと推察。
マイナスボタンを押すと、 H-00 この意味はよくわからない。
マイナスボタンを押すと、
2632 これも何かはわからない。写真に残すべく記録し始めたときこの値だったが、現在は2692表示なんだよ。
はじめは、どこかの温度センサーの値かと思ったけど、右側の数字が92になったのち、しばらく待って同じコマンドでも数字が下がらないので変だなとは思っていたが、アワーメーターかなあ。修理後1週間で1日10時間ぐらい使っているかも。

2692表示のあと、一晩使ったら2702
やっぱりアワーメーターだね。
しかし、トラブルが多いなあ。フレームロッドも新品にすれば、若干でもフレームロッド電圧が上がって回避できるかな。
いやいや、暖ったかいならファンヒーターを使わなければいいし、あるいは少し戸をあけて部屋は寒いとカン違いさせてから運転し始めればよいはずだ。                   
ナショナルOH-P35V6 2003年製造
能力3.5kW

制御基板
制御基板 半田面
ナショナルOH-P35V6 

スイッチ表示基板

給油警告表示、残りの運転時間のめやす
燃料が無くなり停止、U13エラー
気化器後ろ側より
めでたしめでたしとよろこんでいたが、またU17エラーが出た。
これはどうやら、点火時にニードルが飛び出して、ノズルを塞いでにおいとりをするが、その後点火する際にニードルが完全に戻らず、出口を少しふさいでいるのではないかと考えた。なぜかというとソレノイドが駆動して、戻るときのカッツンという音が、他の松下製ファンヒーターと比べると音が小さい。
なので気化器のソレノイドのニードルの戻りが悪くて、そうなっていると思い、最終手段として気化器を分解してみることにした。           2011.3.19                   
23℃に設定して運転するが、火力が弱く17℃までしか上がらず、
そのまま様子を見ていたら、U17エラー
やっぱりダメだ
また先日のように、気化器ユニットごと外す
ニゲパイプを外して
鉄板の覆いを外すとこうなる
前回は鉄板の覆いがあったので、ソレノイドを強く握れず、引き抜きをあきらめたが、今回はためらいも無くばらばらにしたので、容易に引き抜けそう。

ソレノイドを固定しているM4なべ小ねじ2本を外し、ソレノイドをクリクリやると固いけど外れます。
ニードルの通る穴、ここにもスラッジが溜まっていたし
ニードルの根元にも、スラッジがこんなに張り付いていた。
これをカリカリと掃除して
まあまあきれいにする。

あとは元通りに組み直す。
ルーバーを嵌める前に、試運転。
最初の炎はいつもと変わらず弱い感じ。
ルーバーを固定して、フロントパネルを戻す頃には火が強くなってきた。
なんかよい感じだ。
そのまま自分の部屋に持ってきて、一晩30℃設定で耐久テスト。

さすがに30℃までは上昇しないが、22℃までしか上がらなかったが、U17エラーは出なかった。

U17エラーはおそらく気化器のサーミスタで気化器温度を監視し、設定時間後に一定の温度に達してなかったら、タール付着U17エラーと判定しているようだ。
22℃ないし23℃までしか温度が上がらないので、さらに空焼きを行った。

ルーバーから白い煙が出ているのが判りますか。
空焼きのあとのテスト運転。
30℃にセットしたら28℃まで上がった。

まあ要するに、空焼きとニードルの掃除双方しないとU17エラーは直らない。
メーカーに修理に出すと、3150円のバーナーを交換して終わりとなるのであろうと思うが、手間はかかったけど、直ってよかった。

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