GOLF GT TSI MY2007なんだけど、納車当初からブレーキの利きに不満がある。 ペダルを踏まないと利かない。ビートルはブレーキペダルに足を乗せるだけで利いたんだが、GT TSIはどうもブレーキがPOOR。 これまで入院修理のたびに、いろんな代車を乗る機会があり、比較するとそれらはよく利く。 パッドを交換して、ブレーキフィーリングの向上を試みることにした。 2011.2.26 62189km |
まずはボンネットを開けておく。ブレーキマスターシリンダーのブレーキフルードのレベルを確認しておく。
リアタイヤを外す。 | |
ブレーキキャリパーの影に隠れている、パーキング ブレーキ ケーブルを外す。 ケーブルホルダーのラッチをつまんで、穴から外しキャリパーから抜いておく。 | |
キャリパーのピストンを押し戻す際に、ブレーキフルードがマスターシリンダーに戻るが、私はいつもエア抜きを兼ねて、ブリーダー バルブ からフルードを抜きつつ、ピストンを押し戻す。 後工程のために、キャリパーが固定されている状態で、一旦緩めたのち、軽く締めておく。 | |
キャリパーを固定しているねじを緩める。 s=13のメガネと、s=15のオープンエンドスパナ(スライド式ガイドピン側)をこのように握って緩める。 その後、ボルトを緩め外す。 写真は上側であるが、下側も同様にボルトを外す。 | |
ボルトが外れました。このボルトは再使用不可部品。 | |
キャリパーを車両進行方向へスライド、ゴソゴソやると外れる。 | |
古いパッドを外す。 パッドの上のほうのブレーキディスクとのスキマにプライバーを入れて少しこじると簡単に外せる。 内側のパッドも同様にして外す。 | |
リテイニング プレートも同様に外す。上下。 | |
新品のブレーキパッドを用意する。 VW純正品は高いらしい(9435円)ので、BOSCHのアフターマーケット用を選んだ。 品番0 986 494 053 本体4068円+送料630円=4698円 Zenrin DS SHOPが一番安かったが、注文当時欠品で納期2ヶ月、ドイツ取り寄せとなった。 ルーマニア製なんだよ。 | |
箱の中身 ボッシュらしくパッドのほか、ブレーキ パッド リテイニング プレート、キャリパー固定ボルトも同梱されている。 | |
外した純正パッドTRW製 品番1K0 698 451H とボッシュ製パッドの比較写真 純正パッドはTRWのサプライヤー識別子があるが、NAC D6234の打刻があるので、このパッドは日清紡製である。 Nisshinbo Automotive Corporation(NAC)(米ミシガン州)2009年12月不況により解散、北米事業はNAMIに集約 打刻詳細 NAC D6234 FF ZNS US TRWと日清紡は古いつき合いがあるようだ。 純正のリテイニング プレートは黒く汚れていてよくわからないかと思いますが、表面に鳴き防止の塗装が施してある。 あとで洗浄したらそれがわかった。 パッドも表面に鳴き防止の特殊な網目の塗装がしてあるんだよ。 | |
リテイニング プレートの曲げ高さが若干異なるが、 | |
ブレーキキャリアのミゾにあてがってみる。 パッドは逃げているので、この寸法違いは影響なしと見た。 |
ローターも旋盤で切削しようかと計画していたが、ローターの磨耗状態を触ってみる限り、ナミナミ偏磨耗はしてなさそうだったので、今回はそのまま使用することにしました。 ローターを外すには、ビートルとは違いブレーキキャリアを外さないといけないからだ。レンチを回すスペースがなくてうしろの三重四角ボルト(XZN-M14頭)が外しにくいんだよ。 GOLF5は車軸よりも前にキャリパーがついているため整備性が悪い。 |
BOSCHパッドを嵌める。リテイニング プレートとのガタ、スキマ感触は純正と同等。 | |
次はいよいよ、ピストンの押し戻しを行うのであるが、自慢の自作工具がキャリパーのUミゾに嵌らない。 φ39で作ってあるのだが、このキャリパーはビートルのLUCASキャリパーとは寸法が異なる。 | |
ミゾ径を測定したら、37.6mmぐらい。 ダメだ。ここで一時中断。 ノギスの液晶表示が光の反射でうまく写ってません。SORRY でもこのノギスはアナログ目盛も1mmの分解能があるのでだいたいは読める。昔のノギスはこういうときに助かる。ミツトヨCD-20 500-302 | |
ブレーキピスト押し戻し工具を秘密基地へ持ち込み外径旋削。 φ37.3mmに小さくした。 |
ブレーキピストンツールのツバはφ50で作ってあるので、このキャリパーの側壁に干渉すると思われたので逃がすためのDワッシャーも作り、家に戻る。
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何とかキャリパーにはめ込むことができた。ピストンを回転させながら押し込む(というより、押し込みながら回転させないと戻せない)のだが、LUCASキャリパーと違ってとても固い。壊れているかと思ったよ。 押し込む際には、ブリーダー バルブ を緩めて、ブレーキフルードを抜きつつエアーが出てないかも確認する。 ピストンを押し戻したら、ブリーダー バルブ は締めておく。 ピストンは戻っても、ブーツ(保護キャップ)は元に戻らずふくらんでいるので、ブーツの内側を少しめくって空気を抜いてやり、フニュフニュっと二重になるようにブーツの形状を整える。。 |
鳴き防止、きやすめだけど
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ブレーキシムグリス 以前は、トヨタ純正パッドに付属のビニール袋入りのグリスの余りを使っていたのであるが、それはビートルの時に全部使っちゃったので、工具屋ストレートでブレーキシムグリスを買っておいた。 ブレーキシムグリース 30g 36-078 480円 同じようなものが、アストロプロダクツからも460円で販売されています。 | |
ブレーキシムグリスをピストンと、キャリパーのU側内面に少量塗る。 また、パッドとリテーナーの嵌合部分にも少量塗る。 | |
これがアストロプロダクツのディスクパッドグリース | |
460円だよ |
キャリパーをはめ込む
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新品のフランジ付六角ボルトメック加工付M8×22を使用 締め付ける。35Nm | |
ブリーダー バルブ を増し締めし 10Nm、ブリーダーホースを外す。 ブレーキフルードが少し垂れ落ちるので、ブレーキパーツクリーナーでシュシュとやって、ウエスで拭き取っておく。 | |
パーキング ブレーキ ケーブルを元に戻す。
トレーリング アームのケーブルブラケットから外れていたら、はめ込んでおく。 各部、ねじの締め忘れがないか、取り付け状態はよいか、確認しておく。 | |
外したパッド、摩擦材の色を見る限りは、日清紡ブレーキパッドの色をしているね。茶色い。
もう残りわずかだと思っていたパッドであるが 外側5.38mm、内側5.06mmも残っていた。 右側はというと、内側6.42mm、外側6.23mmだった。 まだまだ磨耗代は残っていた。 |
交換完了 | |
あったかくなったので、夏タイヤに嵌め替えておく。 今回トミー・バーを作って、初めて使ってみたがこれはやっぱり便利だな。 | |
トミー・バー M14×P1.5 VWボルトサイズ。 全長 L=160 シャフト太さ φ13.87 旋盤でねじ切り、外径切削して自作したけど、パサート純正車載工具のトミー・バーは品番893 012 223 Audi車ではよく車載工具に入っているプラスチック製で800円ぐらいで買えるらしい。 Prifix 893はAudi80の頃からの部品というわけだね。 買ったほうが安い。作らなきゃよかった。 トゥアレグ用は7L0 012 223 金属製 参考URL1 VW Vortex Forums 参考URL2 passatplus.de | |
右リヤも同様にパッドを交換する。 | |
排出されたブレーキフルード。 左右でたったこれだけだった。おかしいなあ。マスターシリンダー側にだいぶ戻ってしまった感じ。 色が黄色い。だいぶ劣化している。ブレーキフルードも入れ替える必要あり。 後日交換しようディーラーで。 | |
停車状態でブレーキ ペダルを数回力強く踏み込み、ブレーキ パッドが所定の作動位置になるようにする。 最後に、ブレーキマスターシリンダーのリザーバーのフルードレベルを確認しておこう。あふれていたり、UPPER LEVELを越えていないか。 見にくいけどね。 | |
フロントも夏タイヤ交換。 スタッドレスタイヤを洗ってしまっておかねばならないので、このあとも残りの作業がある。 めんどくさいなあ。 | |
2011.2.26 62231km ディーラーでブレーキフルードを交換してきた。 フルード DOT4 1921円 技術料 3465円 |
試走したところ、ブレーキペダルに足を乗せたところで利き始める。 やっぱりにらんだとおりだ。 高速ブレーキング性能、耐フェード性はまた後日わかると思うけど、BOSCH製だし、元々は向こうで販売しているパッドだから、たぶん普通に良いとは思う。 ダストは多いはず。それはがまんする。 ペダルから足をゆっくり離したとき、グゥグゥ言うけどそれはこの摩擦材の特徴。 でも3日ほど走っていたら、グゥグゥ音はしなくなった。最初は当たりが悪いから、ビビッていただけのようだ。よかった。 |
2011.4.2 だいたい2週間でこれぐらい汚れる。 こまめに洗ってあげましょう。 |
どうして自作ピストン押し戻し工具が、GOLF5のTRWキャリパーに使えなかったのか。? ディーラーではどうしているのか? T10165という工具を最近使っているようだが、昔の3272とどう違うのか? 追跡調査してみた。 2011.2.27 |
ディーラーで純正工具 旧型3272(左)と新型T10165の寸法を測定させてもらった。 新型T10165は本体外径が若干細い。持ってみるとよくわかる。 つば径は双方ともφ50、肉はt3である。 | |
T10165はφ36.3だった。 聞き取り調査をしたところ、GOLF5になってから、これを使えと指示があったそうだ。 古い3272が使えないなら、もっと早く教えてくれよ。 | |
T10165に付属の補助プレーT10165/1はこのように組み合わせて、U穴が大きなキャリパーにも使えるようになっている。しかしその目的以外に、ピストンを戻して工具が噛んでしまった際に、本体をCW方向に回して外すのであるが、すべりがよくなって作業性が上がる。 このプレートを使えばTRW製キャリパーの側壁のRを逃がせると思いたいが、実はこれを使ってもR部に乗り上げ、若干斜めにピストンを押し込む。 | |
これはビートル時代の工具、VW3272 外径は39.2mm |
もう一個の自作工具も外径寸法を落としたいが、圧入してあるところをどうすれば抜けるか考えた。 樹脂部に貫通穴を明けて、ピンを差込みボルトを回せば抜けるが、樹脂には穴を明けたくない。他の方法は無いか? φ39部をバイスに挟んで、ボルトをねじ込んでバイスの台座を押せば、抜けるのではないかと試したが、滑って抜けなかった。 コレットチャックを作って抜かねばならないかと考えていたが、旋盤のチャックの中にストッパー(当て金)を入れて、3つ爪で掴みボルトをまわすことを思いついた。 2011.3.6 |
これは2002年に作ったスペアのブレーキピストンツール(2作目) 圧入してあるカラーを分離してきれいに削る。 | |
圧入前のパーツ この状態に分離したい。 | |
旋盤の3つ爪で樹脂部を挟み、M16P2ボルトをメガネレンチ(s=24)でねじ込むと ナット部が抜けてくる。 ボルトをゆっくり回転させると、爪がすべるので最初はすばやく回転させるとうまくいく。 | |
このように外れました。 チャックと主軸の間にφ69の円柱を落とし込み、ボルトをそこに当てて引き抜く。 帝国スクロールチャックMS-E #9の内径はφ70、旋盤の主軸の穴はφ65なので、円柱を介して 主軸のプレート端面に当てるというわけだ。 | |
外周をφ36.4mmまで旋削、段付部は面取り | |
追加で作ったワッシャと、圧入前パーツ | |
別に作っておいた、キャリパーR部逃がしワッシャを挿入し
万力で圧入 これで手直し修正完了 |
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